これからのレビューサイトについて考えてみた

f:id:hoge256:20210926232604p:plain


レビューサイトが使えない

物を買ったり、食事をしたり、どこかに行ったりする時に、ネット上のレビューサイトを参考にすることは多いかと思います。しかし、残念ながら、参考になるレビューは年々少なくなっている印象です。はっきり言うと、最近のレビューサイトは参考になるどころか、害しかないんじゃないかと思っています。

webの黎明期には、「みんなの意見は案外正しい」という書籍が話題になったりして、集合知が持てはやされた時代がありました。こうした集合知は、牧歌的な黎明期のwebでは正しかったと思います。みんながルールを守り、中立に知識を集めれば、「みんなの意見は案外正しい」というような集合知も実現できたでしょう。

しかし、現在のwebでは、それはほぼ不可能な状態です。金銭的なインセンティブでやらせレビューを書き込む人や、陰謀論に影響されてフェイクニュースを書き込む人ばかりが増え、とても、中立に物事を評価できるような状況では無くなってしまいました。

レビューサイトは問題だらけ

レビューサイトのような集合知の最大の問題点は、どういった人物かわからない、もしくは、わかりにく人々の多数の意見を集約している点ではないでしょうか。

レビューを書いている人の背景がわからないと、そのレビューの信頼性にも疑問を持たざるを得ません。これは、専門家のように知見や権威が備わっていないとダメという話では、必ずしもなくて、ある程度、自分と趣味嗜好が一致している人のレビューじゃないと参考にならないんじゃないかという話です。

例えば、辛いものが大好きで、「辛くて美味しいカレーが食べたい!」と思って、カレー屋さんのレビューサイトを見たとしましょう。その時に、辛いものが大嫌いな人がレビューを書いていたらどうでしょうか?本当は辛い物好きからは高評価をもらえるような味だったとしても、おそらく、その人のレビューは高評価にはならないでしょう。辛くて美味しいカレーが食べたいのであれば、自分と同じく「辛いものが好き」という趣味嗜好が一致している人が紹介してるカレー屋さんのレビューこそが参考になるんじゃないでしょうか。

また、レビューを大多数の意見の集約、つまり、平均的な意見として捉えるのも問題なのではないでしょうか。純粋に1人1レビューで、レビューを書き込むのであれば、集約する意味はあるのですが、マイナンバーカードでも使って本人確認をしない限り、それは無理です。とはいえ、本人確認をするような、そんな仰々しいレビューサイトを作っても、面倒くさくて誰も利用しないと思います。

例えば、Yahooコメントを分析した文化人類学者の木村忠正氏の研究では、Yahooコメントの分析を行った所、過度な投稿をするのは、全投稿者の内のわずか2%程度だが、返信コメント数で全体の45%、評価で33%、侮蔑表現該当数で33%を投稿していたといいます。全体の2%の人がコメント数では全体の45%も投稿してるのでは、全体的なコメントの内容は、平均的な意見を集約しているとは言えません。いわゆるノイジーマイノリティという人々の悪影響ですね。これはコメントの研究の話ではありますが、レビューについても、同様のことが言えるんじゃないでしょう。

ぼくのかんがえたさいきょうの解決策

こうした問題を解決するには、どういう方法があるか。色々考えてみたのですが、結局のところ、個人の評判に頼るのが一番簡単ではないでしょうか。

ここで言っている個人というのは、SNS上で一定の活動をしている信頼のおけるアカウントという定義になります。必ずしも本名や社会的立場を公開していたりする必要はなくて、一定の活動をしているアカウトであれば、それでいいかと思います。

こうした、個人が、それぞれ、自分のおすすめを開示すれば、それが、レビューサイトの代わりになり、参考になるのではないでしょうか。

例えば、先程のカレーの例を踏まえると、普段から、辛いものの食レポをしているようなSNSのアカウントがあったとして、そのアカウントが公開している「辛くて美味しいカレー屋さんベスト5」という情報があれば、「辛くて美味しいカレーが食べたい!」という人にとっては、極めて有益な情報となるでしょう。

SNS上には、「クラスタ」と呼ばれる、様々な興味関心を持ったSNSの繋がりがゆるーく形成されています。アニメに詳しいアカウントの繋がりであれば、アニメクラスタだし、経済学に詳しいアカウントの繋がりであれば、「経済学クラスタ」です。

こうしたクラスタ内には、その分野に詳しい人が何人もいるわけで、そうした人々が個々に自分のおすすめを公開すれば、全体として有益な情報となるのではないでしょうか。

SNS上で一定の活動をしている信頼のおけるアカウントが公開するから、信頼性は十分あるでしょうし、過去にどういった言動をしているか、どんなクラスタに属しているかが分かれば、自分の求めている情報とのミスマッチも起こらないかと思います。

同じアニメクラスタでも、日常系アニメが好きな人もいれば、バトル系アニメが好きな人もいます。そういう時でも、アカウントの過去の言動を見れば、どちらのおすすめ情報を見ればいいかは、簡単に分かります。

こうして、個人に注目して、各個人が自分のおすすめを簡単に発信するようなことができるようになれば、過度にレビューを投稿するようなノイジーマイノリティの情報を排除することができ、有意義なレビュー情報を見つけやすくなるのではないでしょうか。もちろん、やらせのおすすめ情報やフェイクのおすすめ情報を発信するアカウントも出てくるでしょうが、そういうアカウントは、過去の言動などで判別が可能ですし、各クラスタからも弾かれるでしょう。個人の評判を元にしている以上、自分アカウントの評判を傷つけるような言動をしているアカウントは、自然に淘汰されることになるかと思います。

どこかのSNSが、こうしたアカウント毎のおすすめ情報発信の機能をつけてくれればいいのにと願ってやみません。

蛇足

まぁ、既にSNSで普通におすすめ情報書き込んでるよとか、プロフ欄に掲載してるよってな話があるのですが、普通に書き込んでる情報は、フロー情報として流れていってしまいますし、プロフ欄では、詳細に書けないので、物足りないですよね。なので、SNS各社様には、きちんとしたおすすめ機能の実装をお願いしたいです。

とは言え、よくよく考えると自分はエンジニアだったので、自分でも実装してみました。よかったら、皆さんのおすすめを登録して公開してもらえればと思います。

 

おすすめ共有サイト shushumeru

shushumeru.com

以上、蛇足な宣伝でした。